だから、好きだって言ってんだよ
付き合うなら、芹沢君みたいな人がいいな。
芹沢君はまさにあたしの理想の王子様そのもの。
だけど芹沢君と付き合いたいかって聞かれると、それはまた別の話。
付き合うなら、当たり前だけど好きになった人とがいい。
「だーれが優しそうだって?」
突然、後ろからイジワルな声が聞こえた。
それと同時に後頭部に手が添えられて、わしゃわしゃと髪を掻き回される。
「ちょ、陽平!」
こんなガキッぽいことをして来る奴は1人しかいないから、すぐに陽平だとわかった。
男子の輪から抜けて来た陽平は、ヘラッと笑った後あたしの前の自分の席に着く。
そして廊下から聞こえる黄色い声をムシして、からかうようにこっちを見て来た。
「誰のことを言ってたんだよ?」
「陽平には関係ないでしょ!」
あたしの髪をぐちゃぐちゃにしたことへの反省のカケラもなく、陽平は未だにヘラヘラ笑っている。
本当、ガキなんだから!