だから、好きだって言ってんだよ


「愛梨は芹沢君みたいな人がタイプなんだって」



ニヤッとしながらまりあが言った。


確かに芹沢君みたいな優しい人がタイプだけど……。



「まりあ!変なこと言わないでよ」



陽平には知られたくない。


だって陽平が知ると、絶対にまたからかって来るんだから。


バカにされるんだからね!



「お前、芹沢が好きなんだ?」



ほら、来た!


意地悪な顔をしながら、バカにしたようにからかって来るに決まっている。



『お前には似合わねーよ』とか、『立場をわきまえろ』とか。



からかうように笑って、そんな風に言われるんだ。



身構えたあたしは、負けないように強気な態度で陽平の顔を見上げた。



えっ……!?



だけど、そこにはいつものイジワルな顔はなくて。



真顔であたしを見つめる陽平がいた。


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