だから、好きだって言ってんだよ
しゅ、趣味わるって……。
なっ、な。
「なにあれ!感じわるっ!」
陽平が出て行ったドアを見つめながら、ボソッとつぶやく。
なんなの!?
聞いて来たのはそっちでしょ?
あたしのタイプにまでケチをつけるなんて!
言わせてもらうけど、陽平を好きな女子の方が趣味が悪いんだからね!
「わかりやすいな~、陽平君」
感じ悪い言い方をした陽平に、まりあは呆れるどころかクスクス笑っている。
「なんで笑えるの?感じ悪すぎるじゃん!」
あんな言い方しなくてもいいのに。
趣味が悪いだなんて、ホント失礼なんだから。
「うん、でも可愛いじゃん。見てると応援してあげたくなっちゃう」
「……可愛い?応援!?」
まりあが何を言っているのかわからない。
可愛いといえる要素なんてなかったし、どこをどう見て応援してあげたいだなんて言ってるの?
わけがわからないよ。
「愛梨は鈍いからね~」
なんてさらにわけのわからないことを言われて、あたしの中で疑問ばかりが膨らんだ。