だから、好きだって言ってんだよ


「陽平も一緒に帰る?」



黙々とカバンに教科書を詰め込んでいると、何を思ったのかミーコが陽平にそんなことを言った。



うわ~、やめてくれ。


教室でもずっと一緒なのに、帰りくらいは別々がいいよ。


お願いだから断ってくれ~!



機嫌も悪いみたいだし、今はあんまり関わりたくない。



「あー、わり。クラスの奴らと約束してるから」



申し訳なさそうにミーコに謝る陽平。


あたしは思わず手を止めてそんな陽平を見た。


こんな顔、絶対にあたしには見せないくせに。



少しはあたしにもそんな誠実な態度をみせてよ!



なんて思っていると、不意に目が合ってギクッとした。


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