だから、好きだって言ってんだよ
用意してくれたトーストにかじりつきながら、どうしようかと頭を悩ませる。
浮かぶのは当然の如く陽平のこと。
今日会ったら、なんて言おう。
謝る?
それとも……。
うーん。
怒ってたし、そもそもまともに目も合わせてくれないかもしれない。
「元気ないわね。何かあったの?」
お母さんがあたしの向かい側に座って顔を覗き込んで来た。
「べ、別に何もないよ?」
いや、あるけど。
陽平に告白されたとか、お母さんに言えるわけないし。
「そう?だったらいいんだけど」
お母さんは、あたしの気持ちを見透かしているかのようにクスッと笑った後、立ち上がってキッチンに戻って行った。
それから黙々とトーストを頬張って、お母さんが作ってくれたお弁当をカバンに詰める。
「行ってきまーす」
そして、いつもより早く家を出て学校へ向かった。