だから、好きだって言ってんだよ
そりゃ、芹沢君の恋は応援したいけど……。
陽平と一緒っていうのが引っかかる。
「もし三浦と付き合ってるなら、ダブルデートっぽく4人で出掛けたいなって思って。頼むよ、こんなことをお願い出来るのは、吉崎さんだけなんだ」
うっ。
やめて。
そんな子犬のような潤んだ目で、あたしを見ないで!
ううっ。
こ、断れないじゃん。
「映画だけ参加してくれたら、その後は適当に解散して自分でなんとかするからさ」
「わ、わかった……」
必死になっている芹沢君を見ていると、どうしても断ることが出来なかった。
そして、あたしが2人を誘うということで話は落ち着いたんだけど。
観るのはコテコテの恋愛映画だから、陽平が誘いに乗って来るとは思えない。
ちなみに……陽平とは付き合ってないってことを、芹沢君にはきちんと伝えておいた。
そこ、大事だよね。
陽平に断られたら、芹沢君は自分の友達を誘うって言っていた。
正直陽平に話しかけるのはかなり気まずいけど、引き受けちゃったからには覚悟を決めるしかない。