だから、好きだって言ってんだよ
「おはようー。遅いから遅刻するんじゃないかと思ったよ」
「あははー!まさか……っ!ただ、はぁ。少し寝坊しちゃって」
「寝坊ね。まったく、愛梨はいつまで経っても変わらないんだから」
ミーコは息を切らしているあたしを見て苦笑する。
大きな目がクシャッと細まって、大人っぽい雰囲気から柔らかい雰囲気に変わった。
「だ、だって……はぁはぁ」
自分の制服姿に浮かれてたなんて、恥ずかしくて言えない。
猛ダッシュしたから、呼吸を整えるのに時間がかかった。
それでもなんとか間に合ったみたいなのでホッとする。
「愛梨は相変わらずだな」
ミーコの隣からイジワルな声が聞こえて振り向いた。
そこには、またしても小学校時代からの友達、三浦 陽平(みうら ようへい)の姿。
「うるさいなぁ、仕方ないでしょ」
わざとらしく、プイと顔を背ける。
どうせあたしは、中学の頃から変わらないですよーだ!
「もう高校生なんだから、少しは成長しろよ」
イジワルな笑顔であたしを見る陽平が憎たらしい。
「うるさいなぁ、ほっといてよ」
陽平はいつもいつも憎まれ口しか叩かないんだから。
「ほっとけるわけねーじゃん。愛梨をからかうのが俺の生きがいなのに」
「なっ……」
なにそれっ!
生きがいって!
ひどい。
こんな風に言われるのはしょっちゅうで、あたしは陽平に今まで散々からかわれて来た。