だから、好きだって言ってんだよ
もう関わりたくないと思っていたけど、どうして高校まで同じなんだか。
それにしても陽平の奴、高校生になった途端いきなり髪とか染めて派手になっちゃって。
ピアスだっていつの間に開けたのか、耳にキラリと輝いている。
もともと整った顔立ちをしている陽平は、中学の時から何をしてもよく目立った。
中学の頃の爽やかなイメージとは一変して、今は茶髪だしピアスだってしてるけど、悔しいくらいによく似合ってる。
癪だから似合ってるとは絶対に言ってやらないけどね。
陽平のお父さんは空手の達人で道場を開いていて、幼い頃から鍛えられているからケンカはかなり強い、らしい。
ま、本人談だからアテにならないけど。
それにしても、身長も……ちょっと伸びた?
前よりも上から見下ろされてる感じがして、なんだか負けたような気分になる。
ジトッと見ていると、思わず目が合った。
「なんだよ?」
「べっつにー?」
「人の顔ジロジロ見てんじゃねーよ」
「は?自意識過剰!陽平の顔なんてもう見飽きてるもん」
「はぁ?俺だって愛梨のマヌケ面はもうたくさんなんだよ」
「はぁ?」
ひどい。
最低!
「ミーコ、陽平がイジメる〜!」
「はいはい、あんたたちは高校生になっても相変わらずなんだから」
ミーコはクスクス笑いながらも、泣きついたあたしをなだめるように頭をポンポン撫でてくれた。
ミーコはサバサバ系の美人で、ストレートのさらさらの黒髪が印象的。
あたしの毛は毛先がゆるく内巻きになってるから、ミーコの綺麗なストレートがすごく羨ましい。
それに地毛が栗色っぽいあたしとは違って、天使の輪っかができるほど綺麗なツヤツヤの髪にも憧れる。
「それより、クラス表見た?」
ミーコに言われてハッとする。
「まだ見てない。っていうか、今行っても見えないよね」
クラス表の掲示板の前の人の多さを見て、思わずため息がもれそうになる。