だから、好きだって言ってんだよ


「よう」



約束の時間の5分前。


聞き覚えのある低い声に思わず鼓動が鳴った。



振り返るとそこには、オシャレにジャケットを着こなす陽平の姿。


いつもはカジュアルなのに、今日はすごくタイトな感じで大人っぽい格好をしている。


スタイルが良いから、何を着ても似合っちゃうところがやっぱり憎たらしい。


陽平はあたしと芹沢君の間に入ってきた。



「お、おはよ」



なんだか陽平の顔を直視出来ない。



芹沢君とだったら普通に話せるのに。



「おはよう、三浦」



「おう」



陽平は無表情に芹沢君を見下ろしている。



何となくムスッとしてるし、ぶっきらぼうな口調はかなり感じが悪い。



芹沢君のことが嫌いなのかな……?


わからないけど、今の陽平を見てたらそう思えてならない。



「おはよう、遅れてごめんね~!」



「まりあー、おはよう」



少しするとまりあも来て、揃ったところで映画館に移動することになった。



< 90 / 303 >

この作品をシェア

pagetop