だから、好きだって言ってんだよ
「よう」
約束の時間の5分前。
聞き覚えのある低い声に思わず鼓動が鳴った。
振り返るとそこには、オシャレにジャケットを着こなす陽平の姿。
いつもはカジュアルなのに、今日はすごくタイトな感じで大人っぽい格好をしている。
スタイルが良いから、何を着ても似合っちゃうところがやっぱり憎たらしい。
陽平はあたしと芹沢君の間に入ってきた。
「お、おはよ」
なんだか陽平の顔を直視出来ない。
芹沢君とだったら普通に話せるのに。
「おはよう、三浦」
「おう」
陽平は無表情に芹沢君を見下ろしている。
何となくムスッとしてるし、ぶっきらぼうな口調はかなり感じが悪い。
芹沢君のことが嫌いなのかな……?
わからないけど、今の陽平を見てたらそう思えてならない。
「おはよう、遅れてごめんね~!」
「まりあー、おはよう」
少しするとまりあも来て、揃ったところで映画館に移動することになった。