だから、好きだって言ってんだよ
あたしとまりあが前を歩いて、後ろに陽平と芹沢君がいる。
ひしひしと視線を感じて後ろをチラチラ振り返ると、その度に陽平と目が合って。
気まずくて、パッと前を向く動作を繰り返していた。
「気になる?陽平君のこと」
隣にいたまりあにクスッと笑われてしまった。
「別に、全然!」
どうしてあたしが。
「そういえばこの前、すっごい可愛い子に告られてるところを見たよ~!なんか中学の同級生っぽかったけど」
「ふーん」
「ふーんって。愛想ないなー。気にならないの?」
「全然!」
「あーあ。陽平君がかわいそうー!とにかく、すごい可愛い子だったよ」
だから……聞いてないってば。
まりあってば、おせっかいなんだから。
「なんて返事したか気にならない?」
「別に」
なんであたしが。
「さっきから、なーにジロジロ見てんだよ?」
ーーグイ
え……?
急にそんな声が聞こえたかと思うと、肩を思いっきり引き寄せられた。
見上げると、至近距離に陽平がいてドキッとする。
「ちょ……なにすんのよ!」
「俺に見惚れてたくせに、今さら照れんなよ」
は、はぁ……?