だから、好きだって言ってんだよ
「邪魔するって、どういうこと?」
いまいちよくわからないんだけど。
何を邪魔するの?
「わかってないのかよ、バカだな」
「なっ」
バカって。
「ま、愛梨だしな」
今日に限ったことじゃないけど、なんだかすごくバカにされてる気がする。
「お前ら2人をうまくいかせてたまるかよってことだ。ほら、さっさと行くぞ」
「ちょ、引っ張らないでよ」
「愛梨がトロいからだろ?」
「トロくないよ」
お前ら2人って……誰のことを言ってるの?
ますますわからなくなったけど、それ以上は聞けなかった。
だけど芹沢君の邪魔をするわけではなさそうだから、ひとまず安心。
まりあと2人になれる方が、芹沢君も嬉しいだろうしね。
そう思って、あたしは仕方なく陽平と並んで歩いた。
そこまでは良かったんだ、そこまでは。
そのあとも陽平は、ことごとくあたしに執拗に絡んで来た。
映画を観る時も『愛梨はここな』と言われて、一番端っこの陽平の隣に座らされて。
普通ならこういう時って、あたしとまりあが真ん中に入って、左右に陽平と芹沢君が座るんじゃないの?
なのに陽平とまりあが真ん中で、あたしと芹沢君が端っこだった。
おまけに観ている時もこっちをじーっと見て来るから、ストーリーに全然集中出来なかったし。
せっかく楽しみにしてた映画だったのに。
陽平は……いったい何がしたいわけ?