だから、好きだって言ってんだよ


これで終わりかと思いきや。


ファミレスを出た直後、綺麗な女の人が目の前を通り過ぎて行った。


出るとこは出てて、引き締まるところは引き締まってるスタイルも顔も綺麗な人。


陽平はなぜか、そのあとあたしの胸元に目を向けて残念そうにひとこと。



「お前もあれくらいあったら、少しは見る影もあったのにな。芹沢はやっぱ、スタイルが良い女の方が好き?だったら愛梨のことはやめた方がいいぞ。こいつ、色気も何もないから」



なっ……。


なんなの。


そりゃあたしは貧乳で色気もないけど。


陽平にだけは、そんなこと言われたくない。


しかも、芹沢君にそんなことを聞かないでよ。



「芹沢、知ってるか?愛梨は中学の時、数学のテストで5点を取ったことが……っ」



「ちょっと来て!」



耐えきれなくなったあたしは、陽平の腕を引っ張って2人から離れた。


失礼過ぎてムカつく。



「どういうつもり?」



せっかく楽しもうとしてるのに、雰囲気をぶち壊すようなことばかり言う陽平にかなり腹が立った。


散々けなされて、イライラマックス状態。


いったい何がしたいわけ!?



いつも場を盛り上げて、一番楽しもうとするのは陽平なのに。



なのに、今日に限っては本当なんなの?


感じが悪いにもほどがある。


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