真っ直ぐな気持ち
「先生!」
 嬉しさのあまり駆け寄る智美。
「先生、どうしてここに?」
「そろそろかなと思って、美夏を迎えに来たんだが」
 彼の目は、真っ直ぐに篠原の方へ向けられていた。
「女の子だけで行ったんじゃなかったのか?」

 アパートに戻ると、美夏は濡れた水着やバスタオルを洗濯機に入れた。
「シャワー浴びて来るね」
 部屋に戻るときっと何か言われる。
 兄には嘘をつかない約束をしていた。それを破ったのだ。
 別にやましい事をしたわけではないのだが、潤に告白された事で、心がざわついているのは事実だった。
 最初から男の子も一緒に行くと言っておけば良かったと後悔していた。
 ただし、それでは許可が出なかったかもしれないが。
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