真っ直ぐな気持ち
 部屋着姿でリビングに戻る。
 兄は、ガラステーブルの上におつまみとビールを置いてテレビを観ていた。
「夕食、作るね」
「今日はいいよ。ちょっとこっちにおいで」
 彼女は黙って、彼の前に正座した。
「嘘、付いたよね」
「うん」
「どうして?」
「言ったら、ややこしくなると思ったから」
「男の子と行くと言ったら、俺が駄目だと言うと思ったから?」
「うん」
「確かに本音はそうだ。だけど美夏には、出来るだけ高校生活を楽しんでもらいたいと思っている。友達から男の子も誘おうと言われたら、嫌だとは言えないよな。正直に話せば、行かせてたよ」
「ごめんなさい」
「もう2度と嘘は付かないで欲しい」
「わかった」
「よし、それじゃラーメンでも食べに行くか?」
「えっ、いいの?」
「泳いで疲れただろ?」
「それじゃ、着替えて来る」
「ああ」

< 14 / 24 >

この作品をシェア

pagetop