真っ直ぐな気持ち
 夏休みも中盤を過ぎ、美夏と智美と直子の3人は、学校の図書室で宿題をしていた。
 学校に来ていた金子先生も、空き時間には3人の所に来てくれて、わからないところを教えてくれた。
 先生ファンの智美と直子は、すっかり舞い上がって勉強どころじゃなかったが。
「先生って、ホントにイケメンですよね・・・」
「西田、そんな事言ってないで勉強勉強」
「先生の顔見てたら、とても勉強なんて出来ませんよ」
「そっか、だったら帰るよ」
「えーいてください。頑張って勉強しますから」
「ったくもお・・・」
「先生、知ってます? 3年生の全クラスに、金子ファンクラブが存在してるって」
「えー?」
「先生にしておくのはもったいない。俳優になったらどうですか?」
「あーもう、やっぱり帰る!」
「あ~ごめんなさい」
 智美の制止を振り切って、彼は図書室から出て行った。
「ちょっと智美、先生がいてくれるだけで幸せだったのに、どうして余計な事言うのよ」
「だって、直子~~~」
 そんな2人のやり取りを、やや冷めた目で見ている美夏だった。

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