真っ直ぐな気持ち
 そんなある日。
 1度も学校を休まなかった美夏が学校に来なかった。
 
 教室に先生が入って来る。
「先生、美夏どうしたんですか?」
 朝の挨拶も済まないうちに、篠原が先生に詰め寄る。
「あーちょっと風邪引いてね。少し熱があったから休ませた」
「大したことないんですよね?」
「ああ、心配しなくていいよ」
「良かった・・・」
「ったく、潤は美夏美夏って。お前達付き合ってるの?」
 潤の隣の男子が、呆れたように尋ねる。
「そんなんじゃないさ。友達を心配して、何が悪い」
「そりゃそうだけど、心配し過ぎじゃねー?」
「いいだろ」
「はい。じゃあ、出席を取ります」

 1日中落ち着きのなかった潤は、授業が終わると真っ先に教室を飛び出して行った。
「篠原、美夏んちに行く気かしら?」
「あの感じからして、そうなんじゃない」
「あいつ、本当に美夏の事が好きなんだね」
「でも、あいつが告白しても落ちなかった子って、美夏ぐらいじゃない?」
「そうね。美夏の彼氏って、最強」
「篠原もわりとカッコいいけど、それを上回るって事よね。う~ん一度見てみたいわ」
「私も」
 智美と直子も、教室を出た。

 
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