真っ直ぐな気持ち
 ガラッ。
 教室の扉が開き、先生が入って来る。
 そして、その後に見知らぬ女子生徒の姿。
「おはようございます。えー先ほど紹介がありましたが、今日からこのクラスを受け持つ事になった金子春哉です。君達とはわりと年齢も近いので、楽しく過ごせたらと思っています。どうぞ宜しく」
 拍手が起こり、イケメン先生は無事に受け入れられた。
「それから、新入生の紹介をします。金子美夏です。彼女は僕の妹です」
 教室内にどよめきが起きた。
「僕達には両親がいません。この高校に採用されたのを機に、近くのアパートに引っ越して来ました。皆さん、美夏と仲良くしてやって下さい」
「金子美夏です。あと1年で卒業ですが、この学校で思い出をたくさん作りたいと思っています。宜しくお願いします」
「かわいいじゃん」
 そう言ったのは、1番前の席にいた男子だった。
 先生と、美夏の目がその生徒に注がれる。
「潤、彼女はやめとけって。バックに担任が付いているんだからよ」
 その生徒の右隣に座っていた男子がそう言った。
「いいじゃん別に」
「お前みたいな不良が彼女にちょっかい出したら、成績下げられるぞ」
「2年の時点で、下がりようがない位下がってるんだ。これからどうあがいても無駄さ」
「えっと、君の名前は?」
「篠原潤」
 先生は、出席簿を開くと、彼の名前を探した。
「あったあった。それじゃ篠原君、これから要注意人物としてチェックさせてもらうからな」
「・・・」
「何てね、冗談だよ。でも、妹に悪さしないでくれよ」
「子供じゃあるまいし。彼女を守る事はあっても、傷つけたりしねーよ」
「そっか。それじゃ、宜しく頼む。えっと、美夏の席は・・・」
「先生、ここ空いてます」
 1番後ろの席の女の子が手を上げている。
「それじゃ美夏、あそこに座って」
「はい」
 彼女は指定された席に座った。
「私、西田智美。宜しくね」
 先ほど手を上げた隣の席の女の子が、にっこり笑う。
「こちらこそ、いろいろ教えてね」
美夏も笑顔で挨拶した。

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