真っ直ぐな気持ち
 ガチャッ
 扉が開く音。
 入って来たのは春哉だった。
「篠原・・・お前!」
 凄い剣幕で近づいて来た彼は、篠原の襟元を掴む。
「お前、美夏に何をした!」
「やめて!」
 こぶしを上げた彼を慌てて止める彼女。
「彼は悪くない。熱がある私を介抱してくれてただけ。お願い、彼を殴らないで」
「美夏・・・」
「お前、何でこんなに熱がある彼女を1人にした」
「えっ?」
「彼女より仕事が大事なのかよ。呑気に学校行ってる場合じゃねーだろ。なんで美夏に付いててやらなかったんだよ」
「・・・」
「こいつには、かあちゃんもとうちゃんもいねーんだ。頼れるのはお前だけなのに、何で彼女を1人にしたんだ」
「潤くん、もういいよ。先生は、学校休むって言ったの。でも、私が行くように頼んだのよ。寝てたら治るって思ったから」
「でも、こんなに熱出して」
「そうね。でも大丈夫だから。大丈夫・・・」
「美夏!」
 彼女は意識を失った。

 
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