真っ直ぐな気持ち
 2人は病室に居た。
 気を失った彼女を病院に運ぶと、かなり脱水症状が進んでいて、点滴を受けながら、今晩は入院する事になった。
「篠原、ちょっといいか」
 彼は、篠原を病室の外に連れ出した。
 そして、少し離れた場所にある休憩所に行くと、椅子に腰掛けた。
「さっきは済まなかった」
「・・・」
「お前が、美夏にキスしているのかと思って、気が動転してしまった」
「俺も悪かった。あいつの彼氏でもないのに、先生にえらそうな事言って」
「お前が、美夏の事を大切に思ってくれてるのはわかってる。だけど、2人の事を認めるわけにはいかないんだ」
「兄として、こんな不良男と妹を付き合わせるわけにはいかないんだろ。わかるよ。俺だって、もし妹がいたら反対すると思うし」
「そうじゃない」
「えっ?」
「お前はいい奴だよ。美夏が妹なら、反対しなかったと思う」
「えっ? それ、どういう意味だよ」
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