真っ直ぐな気持ち
授業が終わり、バス停まで智美と歩いた美夏は、彼女がバスに乗り込むのを見届けると、商店街の方に向かった。
兄と2人暮らしの彼女は、学校に行きながら、家事もこなさなくてはならない。
交通事故で両親を亡くして1年。悲しみの中、面倒を見てくれたのは兄だった。
高校教師となった兄。仕事で忙しい彼に代わり、家庭を守るのが彼女の務めだ。
その分、休日は掃除や洗濯、買い物まで手伝ってくれる兄。
彼女はそんな兄が大好きだった。
「美夏」
八百屋の前に差し掛かった時、後ろから自分を呼ぶ声がした。
振り向くと、篠原潤が立っていた。
「買い物?」
「うん」
「大変だね」
「うん。でも頑張るしかないよ」
「何買うの?」
「うん、何にしようかな・・・」
「俺、荷物持ってやるよ」
「いいよ別に」
「遠慮するなって」
「でも・・・」
「俺、力には自信があるんだ。何でも持ってやるから、遠慮せずに買えよ」
彼女はそれ以上断る理由もなく、八百屋、肉屋で買ったものを彼に持ってもらった。
それから日用品も少し買い足し、家に戻る。
「ここ?」
「うん」
そこには、2階建てのこじんまりとしたアパートが建っていた。
ドアの数は1階に4つ、2階にも4つ。合計8世帯のアパートだ。
1階手前から2番目、つまり102号室が彼女の家だった。
「ありがとう。ごめん、お茶くらい出してあげたいけど、散らかってるから」
「いいよ。それじゃ、これで」
「うん。本当にありがとう。また明日学校で」
「ああ」
彼は手を振ると、去って行った。
彼女は軽くため息をつくと、部屋の中に入った。
兄と2人暮らしの彼女は、学校に行きながら、家事もこなさなくてはならない。
交通事故で両親を亡くして1年。悲しみの中、面倒を見てくれたのは兄だった。
高校教師となった兄。仕事で忙しい彼に代わり、家庭を守るのが彼女の務めだ。
その分、休日は掃除や洗濯、買い物まで手伝ってくれる兄。
彼女はそんな兄が大好きだった。
「美夏」
八百屋の前に差し掛かった時、後ろから自分を呼ぶ声がした。
振り向くと、篠原潤が立っていた。
「買い物?」
「うん」
「大変だね」
「うん。でも頑張るしかないよ」
「何買うの?」
「うん、何にしようかな・・・」
「俺、荷物持ってやるよ」
「いいよ別に」
「遠慮するなって」
「でも・・・」
「俺、力には自信があるんだ。何でも持ってやるから、遠慮せずに買えよ」
彼女はそれ以上断る理由もなく、八百屋、肉屋で買ったものを彼に持ってもらった。
それから日用品も少し買い足し、家に戻る。
「ここ?」
「うん」
そこには、2階建てのこじんまりとしたアパートが建っていた。
ドアの数は1階に4つ、2階にも4つ。合計8世帯のアパートだ。
1階手前から2番目、つまり102号室が彼女の家だった。
「ありがとう。ごめん、お茶くらい出してあげたいけど、散らかってるから」
「いいよ。それじゃ、これで」
「うん。本当にありがとう。また明日学校で」
「ああ」
彼は手を振ると、去って行った。
彼女は軽くため息をつくと、部屋の中に入った。