真っ直ぐな気持ち
 翌日学校に行くと、先に来ていた智美が彼女を引き寄せる。
「美夏、あなた昨日、篠原潤と帰ったんだって?」
「えっ?」
「隣のクラスの友達がさ、美夏と一緒に買い物してるとこ見たっていうのよ」
「商店街で会ったの。断ったんだけど、どうしても荷物持ってくれるっていうから」
「彼とは関わらない方がいいよ」
「どうして?」
「あいつ、目を付けた女は絶対自分の物にしないと気が済まない奴なのよ。まさかもう、付き合おうなんて、言われてないでしょうね?」
「言われるわけないじゃない」
「昨日の態度見たでしょ? あいつ、絶対美夏の事狙ってるって」
「だけど、何かされたわけでもないし、無視するわけにもいかないわ」
「あっ、来た来た」
 智美は自分の席に戻った。
「おはよう、美夏」
「篠原くん、昨日はどうもありがとう」
「いいって。これからも、何かあったら言ってくれよ。俺、毎日暇だし」
「ありがとう。でも、なるべく自分で頑張りたいのよ。経済的な事は、みんな兄さんに頼りっぱなしだし」
「仲がいいんだな」
「二人っきりだしね。協力し合わなきゃ」
「でも、困った時はいつでも相談に乗るから」
「うん」
 そう言うと、彼は自分の席に戻って行った。
「やっぱりあいつ、美夏の事狙ってるよ」
「そんな事ないって」
「本当に、あいつだけには気をつけて」
「わかった」
 
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