真っ直ぐな気持ち
 チャイムが鳴り、1時間目の数学の先生が入って来た。
 美夏は、前の学校でもわりと良い成績だった。
 この高校は、前の学校よりもレベルが低い。テストがあってみないとわからないが、おそらくクラスでも上位に食い込めるはずだ。
 それに比べて智美は、元気はいいがおつむの方はややお休みモード。
 とくに嫌いな科目である数学の時間は、真面目に話を聞いてる振りをしながら、教科書の下に隠された無地のノートに落書きをして遊んでいた。
「それでは、この問題が解ける者?」
 シーンとした教室の中、ゆっくり手を上げる美夏。
「それじゃ金子、前に出て解いてみなさい」
「はい」
 彼女は、生徒の列を通り抜け、チョークを握るとすらすらと計算式を書き始めた。
「出来ました」
「お~」 
 教室内がどよめく。
「よし、正解」
「お~」
 再びどよめきが起きる中、彼女は自分の席に戻った。

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