真っ直ぐな気持ち
 授業が終わり、美夏は真っ直ぐに家に戻った。
 今日は昨日買っておいた材料で、カレーライスとポテトサラダを作るつもりだ。
 帰るとまず、ベランダに干していた洗濯物を取り込む。
 それからお米を洗って炊飯器にセットした。
 郵便物のチェックをして、夕飯の仕度に取り掛かった。
 彼女は、料理をしながら、篠原潤の事を考えていた。彼は、智美達が言っているような、悪い人には見えない。
 人間観察には長けている方だと思っているが、そんな彼女の警戒網には引っかからないのだ。
 それどころか、何故か気になる存在になっていた。
 湯がいていたジャガイモが柔らかくなったところで水分を飛ばし、荒熱を取る。
 同時に、隣のガスコンロに掛けていた鍋の火を一旦落とし、カレーのルーを割りいれた。
 とたんに、いいにおいが広がる。
 その時、彼女のお腹がギュルリと鳴った。


 美夏の高校生活は充実していた。
 1学期の期末テストではクラス40人中2番だった。1番は、昨年度生徒会長をしていた男子。
 1週間後に迫った夏休みを前に、まだ受験や就職モードではない面々は、夏休みをどう満喫しようかと浮かれていた。
 美夏や智美も例外ではなかった。
 
< 9 / 24 >

この作品をシェア

pagetop