三人の私
美菜の隣に椅子を置いて座る。

美菜が「あたし、転校してきたばっかだけど、水希に話しかけてみたら、優しい子だって分かったから、もっとみんなと喋ったほうがいいよ!」って言ってきた。

私は緊張でうつむいて、食欲がなくなり、給食に手をつけられなくなっていた。

私の目の前にいた子が、「そういえば、絵が上手いよね。細かいとこまで丁寧に描いてるし。」って言うと、他の子も「そうだよね。しかも、すごい難しい漢字とか知ってるよね。いつも国語のテストは点数良いんでしょ?頭良くて羨ましい。」って言う。


みんな、そんなに私のこと知ってるの?

私は驚いて顔を上げ、みんなの顔を見る。

隣の美菜が、「ほら、全然食べてないじゃん。昼休みが終わる前に食べないと。でも、みんな、水希の良いとこ、知ってるでしょ?仲良くなれそうじゃない?」と言った。

もう一度、みんなの顔を見る。

1人の子が、「ごめん。話しかけにくかった、正直...。転校してきた美菜があなたに話しかけてるのを見た時も、え?なんで?って思ったし...。ごめんね。でも、美菜が、頭が良くて優しい子だからって言うから、あたし達も話してみたくなったの。これから、あたし達も、水希って呼んでいい?」



そんな様子を、いつの間にか男子達も見ていた。


嬉しかった。

そこから、私の中学生活...いや、私自身も、変わっていった。




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