私に恋をしてください!
剛さんはきっとそんな疑心暗鬼な人生を歩んできたんだろう。
そんな中でやっと出会えた本気になれる女性が神戸だったんだ。
俺は、出る幕がない。

いや、出るつもりもないけれど。

「僕は、まずは一人前の社会人になれるように今の会社で精いっぱい頑張ります」
『はい。応援しています』
「あの、またお会いしてもいいですか?」

俺は、もっと剛さんに会いたいと思った。

『いいですよ。応援するからには、これっきりでは僕も寂しいですし』

そう言うと剛さんと俺は携帯で連絡先を交換した。

この時何となく剛さんなら、良くも悪くも俺の人としての成長をきちんと評価してくれる人なんじゃないかって。
だから、また会いたいと漠然と思ったんだ。

俺には友人がいないわけではない。

それでも、剛さんに、俺の成長を見てもらいたいと思いつつ、俺はこの後神戸のいるわかば堂書店で仕事をした。

不思議なほど、意識はしなかった。
ひとつひとつ、俺は・・・頑張る。

その頑張りこそが、きっと社会人としてのスキルを上げることだと信じて。
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