私に恋をしてください!
そう言うと、葉月は俺に向かって微笑みかけた。

『分かった。あとは君達に任せるよ』
「あの、ここの支払いは・・・」
『いらないよ。兄のおごり。予約とチェックインは僕がやったけど』
「いや、悪いですよ」
『あのね、ここは成瀬川家が営んでいるホテルなの。しかも葉月ちゃんは兄の部下でしょ?飲み代をおごられたくらいの気持ちでありがたく頂戴しなよ』

そう言うと"あ、そうだ"と何かを思い出した様子の神戸。

『これ、ディナーのチケット。ここはバイキング形式で、これを使えばタダなんだよ。剛さんに貰って遥香と行こうと思ったのに、私がこんな体になっちゃって放置していたら、有効期限が明日までになっちゃった。使って貰える?』

と、チケットを渡してきた。

「有難く使わせてもらうよ」

もう、親切は何でも受け入れようと思った。
遠慮をしていたら、その方が疲れるくらいの状況。
凄く贅沢だと思った。
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