私に恋をしてください!
翌朝、朝食バイキングを食べた後、電車で移動をした。

着いた先は、俺のアパート。

そこで、葉月は大学ノートに何かを書き始めた。
今日は昨日のイベントの後から自宅に帰っていないため、マンガを描くための道具を持っていない。

「何書いているの?」
『マンガのストーリー。思いついた内容を忘れないうちに書き留めるの』

しばらく書くことに没頭している葉月。
そのうち何だか俺が放置されているような気がしてきた。

ちょっと寂しくなって、葉月が書いているローテーブルとベッドの間に、さらに俺は葉月の背後から抱き締めた。

『ちょっと、ソラ?』
「いいから書いてなよ。こっちはこっちで楽しむから」

腰に手を回し、葉月の小さな背中に寄りかかった。

『重いよぉ』
「葉月が俺をほったらかしにするのが悪い」
『ごめん。でもあともう少しだけ、ね?』

後ろを向いてそう言われると、俺も強く出られない。
だけど俺の存在を忘れて欲しくなくて、腰に回した手はそのままにして、葉月が終わるのを待った。

俺って・・・こんなに甘い男だったのか?

『終わったよ』

そう言うと、葉月は振り向いて俺にキスをしてくれた。

『ごめんね、遅くなって。キャッ』

葉月が奇声を発したのは、俺が腰のあたりにあった両手を、葉月の胸に移動させたから。
< 113 / 216 >

この作品をシェア

pagetop