私に恋をしてください!
『局長くらいの年齢なら、結婚して子供がいてもおかしくないだろうけど、ソラとそんなに近い場所に局長の関係者がいるという世間の狭さに驚いたよ』
「もっと狭いことを言うとさ、その姉ちゃん、営業局内の人なんだよ」
『えー?だって営業局って女子は私入れても3人しかいないよ』

葉月は俺の両肩に手を置いた。

『えっと、玲奈(レナ)さんと遥香さん、どっち?』
「名前で言われるとピンと来ないけど…遥香さんって高松のことだろ?」
『え?ソラは遥香さんのこと知っているの?』
「知っているも何も、神戸も高松も、高校の同級生だよ」
『なるほど、だからか…』

葉月は何かを思い出したように呟いた。

「どうした?」
『ううん。と、言うことは、ソラの友達のお姉さんは、玲奈さんだね。ん?玲奈さんが局長の奥さん?』

葉月は手で口を押さえた。

「そういうこと。でもトップシークレットだから絶対誰にも言うなよ。局内で知るのは本人たち以外は日下部長だけらしいからな」
『そんなこと、怖くて逆に誰にも言えないよぉ』

葉月は激しく首を横に振った。

「なぁ、さっき高松の名前を俺が出した時、何で何かを納得したの?」
『いや、あのさ…』

言いづらそうな葉月。
だから俺は"言えよ"と葉月の頬を両手で挟んだ。
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