私に恋をしてください!
「"私に恋して貰えませんか?"って言ったの」
『あら、何と傲慢な』
「いいマンガが描けるようになるかな、って思ったから」
『マンガ家の夢は、続いているんだ』
「局長との約束もあるの」

成瀬川局長から、3年営業で頑張って、その時の人事評価が高いようなら、私のマンガ家になる夢を応援してあげてもいいと言われている。

どんな形で応援されるかは分からないけど、営業としても、マンガ家としての腕も上げて置かないと、局長との約束に答えられないと思った。

そのことをお母さんに話すと、

『健吾くんもなかなかよね。部下のモチベーションを上げるのがうまい上司なんだろうな』
「健吾くん?」

私は思わずまじまじと自分の母を見つめてしまった。
局長のことを親しげに"健吾くん"だなんて。

『あら、葉月は私とお父さんの馴れ初めを知らない?』
「お父さんから口止めされているんじゃなかった?」
『僕、聞きたいです。お母さん達の馴れ初め』
『ここでは何だから、この後お茶しない?いい店知っているのよ』
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