私に恋をしてください！
会話の間に到着した生姜焼き定食を3人で食べた後、向かったのは、古い喫茶店。

中に入ると、お客さんは誰もおらず、カウンターの内側には白髪の男性がいた。

『長谷川さん・・・じゃなくて、マスター、お久しぶりです』

お母さんが知り合いなのであろう白髪の男性にそう言って挨拶をした。

『おや、藤森（フジモリ）さん？何年振りだろうね。ひとりで来たあの時から・・・4年ぶりくらいかな？』
『藤森さん？』
「お母さんの旧姓だよ。でも何でだろう？」

私は、マスターとお母さんの関係性がよく分からなかった。
私でさえ分からないんだから、ソラは借りてきた猫だ。

『趣がありますよね』

ソラは店内を見回している。

『娘の葉月と、その彼氏のソラくん』

お母さんはマスターに私達を紹介した。

『へぇ、藤森さんの娘さん。おいくつ？』
「23歳です」
『そうですか。私はかつて、成瀬川家で執事をしておりました、長谷川（ハセガワ）と申します。貴方のお母さんとは少し知り合いでしてね』

何でお母さんが、成瀬川家の執事だった人と知り合いなんだろう。
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