私に恋をしてください！
『ソラくん、コーヒーは飲める？』
『はい』
『じゃぁ、ホット2つと、葉月にはジャスミンティーで』

お母さんは、私がコーヒーを飲めないことをよく知っている。
親だから当たり前か。

『かしこまりました』
「あの、ここって、禁煙ですか？」

さっきの定食屋が禁煙だったから、ソラがキツイかなって私は思った。

『いえ、私が吸いますからこの店は喫煙ですよ。灰皿お持ちします』

マスターは優しくそう言うと、灰皿をテーブルの真ん中に置いた。

『葉月、別に俺なら気にしなくて良かったのに』
『アンタも一人前に人に気を使えるようになったのね、大人だわぁ』

お母さんは妙に感心していた。

飲み物が到着すると、お母さんは静かに話し始めた。

『私が龍成社のOGだと言うことは、知ってた？』
「ううん、知らなかった」

でもお父さんと知り合うには、社内の方が自然かな。

『短大の秘書科を出て、そのまま龍成社の秘書室に入って社長の秘書にいきなりなったのよ。秘書ってもちろん社長のスケジュール管理をするわけじゃない？だから執事だったマスターとは連絡を密に取っていたの』

お母さんが社長秘書？
何か意外。
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