私に恋をしてください！

「そこに恋愛感情はなかったの？だって16も違うんだよ、お父さんとお母さん」
『え、そうなの？』

ソラも驚いている。

『最初はね、1年だけの結婚生活の約束だったのよ。そうしたら自由にしてやるって言われていた。けど、状況が変わってしまった』
『葉月が出来たから、ですか？』
『ソラくんも若いのになかなか鋭いわね。その通りよ。自慢じゃないけど"夫婦生活"は葉月が出来るきっかけになったその1度だけ』

お父さんがあまり家族を顧みず、休日も出掛けてしまっていたのは、お母さんに対する愛情がなかったからなのかな。

「なら、どうして私に過干渉なの？門限設けたり、マンガ家になることに反対したり」
『葉月が彼氏作ってお嫁に行ってしまったら、私が離婚すると思っているんでしょうね。"子は春日井"で、葉月がいるから私達夫婦は持っているようなものだから』
「それとマンガ家は関係ないじゃん」
『お父さんは元々著名なマンガ家と知り合いが多いからそこに自分の娘を送り込んで、親のコネとか言われたり、著名なマンガ家に辛辣な評価をされるのを恐れたのよ』
「それは、私を守るため？」

お母さんはコーヒーをひと口飲んで、首を横に振った。