私に恋をしてください!
ダイニングに四人が座る。

『もう、ソラくんが来ると分かっていれば、もっとちゃんとした食事を準備したのに』

と、お母さんはやや不満顔。

『いえ、とんでもありません。僕みたいな人間に、どうかお構いなく。お食事も、美味しく頂いておりますし』
『ねぇ、葉月のどこが好き?』
『え?』
「ちょっと、お母さん!」

でも俺は、お母さんにも葉月への想いを伝えるつもりだったから、一昨日のお父さんに伝えた時と同じ言葉で、葉月のことを話した。
そして、

『先日同じことを専務にもお伝えしました。でもさらにもう1つ加えさせてください。葉月さんは女子力が高いです。環境上、お母さんに甘えてしまいがちの料理や炊事洗濯も全てこなします。そんなぬかりのない娘さんに育てられたとくにお母さんは素晴らしいと思います』
『そんな、大げさよ』

お母さんはそれでもまんざらでもない様子。

『ですから、そんな大事に育てられた娘さんを、僕はずっと大事にしたいなって思っておりまして・・・ですから今後とも、よろしくお願いします』

そう言ってソラは向かい側に座る両親に頭を下げた。

『頭を上げなよ、ソラくん』

お母さんが優しくソラに言う。
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