私に恋をしてください!
ソラが顔を上げると、お母さんは手を差し出した。
ソラがそれに応え同じように手を差し出すと、ふたりで握手をした。

『お父さんの前でこういう話が出来たことは、凄く意味のあることだと思うよ。だからこそ、うちの娘を悲しませることは絶対しないでね』
『はい。絶対に葉月を悲しませるようなことはしないとお約束します。何より、僕が絶対嫌ですから』

握手の手を離し、手を引いた。

『さ、みんな食べたね。後片付けだよ。葉月も手伝いなさい』
「はぁい」

私も立ち上がると、お母さんと一緒にキッチンに入った。

『ソラくん、こっちに来てこのボトルの続きを飲まないか?』

お父さんに導かれ、リビングのソファに向い合わせで座るお父さんとソラ。

白ワインを飲み、仕事の話を始めた。

『君は、大手チェーンを担当している部署にいるんだよな』
『はい。わかば堂書店の首都圏の店舗と春木屋書房だけを担当している部署です』
『結構花形の部署になるのかな』
『いや、そうでもないです。本部の考えと店舗の書店員の考えに隔たりがある時もあるので、結構振り回されて大変な時もあります』

書店向けの営業も結構大変そうだな。
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