私に恋をしてください!
『私の作品を見て、どこが悪いか、忌憚のない意見を言ってもらいたいのです』
「意見ですか?僕は少女マンガは全く精通していないもので・・・感想なんてとてもとても」
『私が言っているのは、絵じゃありません。ストーリーです』
「ストーリー?」

確かに少女マンガと言えば、ヒロインとヒーローが紆余曲折しながら愛を育んだり、ハッピーエンドが定番の物語だよね?

パラパラめくって読んでみると、確かに、セリフに現実味がなく、共感しづらい。

『今日は時間がないと思いますので、こちらをお持ち帰りいただいて、後日、私に思ったことを伝えて頂けますでしょうか?』

渡してきたのは、コピー。
今俺が見ているのは、恐らく原本だろう。

「分かりました。どちらに連絡すればよろしいですか?」
『こちらにお願いします』

と、裏に何かを書きこんでから渡してきたのは、やっぱり名刺。
ピンク色の派手な色合い・・・これはプライベート用の名刺?

名前は"氷川 月(ヒカワ ルナ)"となっており、その下にホームページのURLとメールアドレスが記載されている。
裏を見ると、手書きで携帯の番号とメールアドレスが書いてあった。

『これは、コミケ用に配っている名刺です。あんなところで、龍成社の名刺を使うわけにはいきませんから』
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