私に恋をしてください!
「私の夢に、ソラを巻き込むなんて、できないよ」
『何を言っているの?葉月の夢は俺の夢。俺の力で、君を立派なマンガ家にするんだから。そのために、俺はアシスタントとして役に立てるように努力するし』
「そうだ、ソラには夢はないの?」

私のように、ソラにだって将来なりたいものがあったはずだ。
しかしソラは首を横に振った。

『昔は野球選手とか、パイロットとか、漠然としたものはあったけど、結局具体的になりたいものに向き合うことがないまま今に至った。けど見つけたよ、夢』
「何?」
『だから、何度も言わせないでよ。葉月を一流のマンガ家にすることだよ』
「だけど、そんなことしていたら、マンガばっかりの生活になっちゃうよ」

それだけじゃ、嫌だ。
私はソラとの時間を大事にしたい。

『葉月は俺に何て言った?"私に恋をしてください!"だったよな。そしてその目的は、マンガ家としてのスキル向上のためだったよな』
「うん」
『俺が葉月に恋をしたら、それで終わりか?』
「え?」

確かに、恋愛をしたって、それがきちんとした形でマンガに反映され、結果として表れるかどうかは分からない。

『俺は、葉月の全てに関わりたいんだ。プライベートも、仕事も』
「うん」
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