私に恋をしてください!
俺は会社の下っ端・・・主には力仕事として駆り出された。
その間に神戸の仕事っぷりを見ていると、それは見事の一言で・・・

すっかり社会人としては差をつけられていることを痛感せざるを得なかった。
大学時代の4年間は、人として磨けたわけではなくて、単に学歴に一行加えられただけの4年間だったんだ。

やっぱり社会に揉まれるっていうのは大事だ。

イベントの後は、わかば堂書店側とうちの会社で合同の打ち上げがあった。
そこで改めて神戸と話す機会があった。

『首都出版で働いているんだね、柳井くん』
「うん。正直に言うと、神戸とどこかで一緒に仕事が出来るんじゃないかと思って、選んだ会社なんだ」
『選んで、ちゃんと入社試験通るところが、柳井くんのすごいところだね』

お酒が進み、少し神戸の顔が赤くなってきたようだ。

「神戸って今どこに住んでるの?1人暮らしだよね」
『明宿駅の近くだよ』

ここで神戸の携帯が鳴った。
メールみたいだ。
しばらく画面を見ていた。

「大丈夫か?急ぎのメール?」
『ううん、大丈夫』

誰だろう?
彼氏?
22歳の女性が、彼氏の1人くらいいても確かにおかしくはない。

「神戸って、彼氏いるの?」
『いるよ』

即答だった。
高校時代は男どころか、女をも遠ざけていた印象だったのに、今は180度違う人に見える。
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