私に恋をしてください!
葉月に"私に恋をしてほしい"と頼まれて始まった関係は、過去の女性たちのような"何とも思わない"ものとは明らかに違う。

そうと分かっているからこそ、葉月に深入りすることが怖い自分が存在した。
でも、ここで殻を破らなくては…

すると葉月が、

『ちょっと力が湧いてきたから、ちょっとマンガ書く時間が欲しいんだけど。ファミレスにでも行かない?』

と言い出した。

「ファミレスだと落ち着かないだろ。ウチに来て書く?」

自然と言葉に出てきた誘いの言葉。
うちに女の子を誘うって今までやったことなかったし、独り暮らしの男の家に行くことに警戒するかと思ったけど…

『うわぁ、嬉しい。いいの?』

葉月は素直に俺の誘いを喜んだ。

俺はそんな葉月の姿に少々不満を覚えた。

俺に対して警戒心がないと言うことは、俺を男として意識していないということか?

そう頭の中で考えたら面白くなくなってきた。

でも…俺は葉月に"俺を好きになる努力をしろ"と言った。

見た目、何ら取り柄のない俺に、男を知らない葉月が何の努力をすればいいんだ?
今はまだ、"火傷を負わされたヤツ"くらいにしか思われてないだろう。
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