私に恋をしてください!
『ソラみたいな人は、私みたいな女とは釣り合わないのに、こうやって休日に一緒に過ごしてくれるのは、マンガのこともあるけどやっぱりこれのせいかなって』

そう言いながら葉月は火傷した自分の腕をさする。

患部は赤みを帯びており、一部分は茶色くなっていた。

左腕とあまりに違う肌の色。
俺は一旦罪悪感にかられた。

でもすぐに違う感情にすり変わった。

「俺も触っていい?火傷したところ」

細い指先、細い手首、細い腕、白い肌。
"女性"と言うよりも、"女の子"。

でも、守ってあげたいと言う"お兄ちゃん"のような気持ちではなく、同じ社会人としてのビジネスな会話もできる。

では、触りたいと思ったこの感情は何なのだろう。

葉月の前で自分の行動を分析できずにいた。

火傷した部分はザラザラした感触。
それ以外の部分は極めが細かく、スベスベだ。

葉月の許可を貰い、しばらく言葉もなしに触れていた。

どのくらいの時間が経ったのだろう。
葉月は多分ずっと目線を患部に向けている俺を見つめていたと思う。

間が持たなかったのだろう。
ふと、葉月が俺のベッドに目線を移すと"あっ"と掛け布団をめくった。

そこにあるのは、白くまのぬいぐるみ。
俺が寝る時に抱き枕代わりに使っているもの。

掛け布団で隠していたつもりが、ぬいぐるみの腕が少し見えていたらしい。
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