私に恋をしてください!
『このぬいぐるみを抱っこして、ソラは毎日寝ているの?』

と、首を傾げて俺に聞く葉月。

「うん」

恥ずかしいけど、そう答えるしかなかった俺。

『私、全く同じの持っているんだ。しかもTシャツも着せているよ』

このぬいぐるみはとても大きいので大人サイズのTシャツがすっぽり入る。

"可愛い!"と言ってぬいぐるみを撫でる葉月。

「抱き心地がいいんだよね」
『私も毎日抱っこして寝ているよ。夜、1人で話しかけるの。今日の出来事を』
「俺もだよ」
『でもかわいそう』

そう言うと、葉月はぬいぐるみのTシャツを少しめくった。

「どうして?」
『だって、ほらこんなに汚れているんだもん。結構ギューって抱きしめているんだね』

確かに、Tシャツの下に隠れている部分と、そうではない部分では白さが全然違う。

「でも、ぬいぐるみって洗えないからさ」
『洗えるよ。やってあげようか?』
「いや、いいよ。どうせ俺しか使わないし」
『私が嫌なの。かわいそうじゃん、薄汚れちゃって。ソラ、大きなゴミ袋とハサミはある?』

俺の返事とは裏腹に、本気でぬいぐるみを洗おうとしている葉月を見て、俺は強く断れなくなり葉月の指示に従った。
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