私に恋をしてください!
『君も明日に備えて、これを見ておいてね。ここ最近では恒例だろうから、分かっているとは思うけど』
「はぃ」
『最近は君ばっかり定例会に行かせてごめんね。本当は高松さんあたりに出てもらうべきなんだろうけど、局長の指示で君が行くようにと言われててさ』
「局長の指示なんですか?」

知らなかった。
多分、局長は私を一人前にするために外部の会議に放り込んだのだろう。

私が行くまでは、他の男性社員が出向いていた。
新入社員が出るような会議では本来、ない。

だからこそ、局長のありがたみを感じた。
その配慮に応えなければ。

翌日午後、日下部長と一緒に向かう首都出版販売。
先月と違い、今回は書籍仕入部のある18階の会議室を使う。

せめて17階の会議室であれば、ソラと会えるチャンスがあるかもと僅かな期待を寄せたけど、階が違うのでは無理だろうな。

そう思って地下鉄から直結のビルの地下からエレベータに乗ったら、1階でエレベーターが開いた。
乗ってきたのは、ソラと・・・若い女性。

多分同僚だろうけど・・・綺麗なその女性のことを、私は羨ましく思った。
だって、ソラが仕事をしている所を毎日見ているんでしょ?

そんなことを考えていたら、階数のボタンの目の前にいた私にソラは"代わるよ"と言って私の位置を後ろに下げた。
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