私に恋をしてください!
でも、葉月に限って、自分から俺を求めてくるなんて…

「いいじゃねぇか。手を繋いだり、キスしたり、甘い言葉を掛けてあげていれば、彼女なら大丈夫だよ。どうせマンガのストーリーの参考にすることが目的の打算的な付き合いなんだから」
『は?いつの時代の話をしているんだ?今時婚前交渉のないカップルなんて日本中どこ探したってなかなか見つからないよ』

"砂漠の中のダイヤモンドだよな"と呟きながら目の前の浅漬けにかじりつく陸。

『二者択一。彼女のためにお前の弱点を治療するか、彼女のために別れるか』
「別れるなんて、イヤだよ。まだ始まってもいないのに」
『だろ?なら弱点克服だな』
「でも、どうやったらいいのか…心療内科とか?」

通院する時間、あるのかな。

『病院なんて通ってたら彼女との時間がなくなるだろ?そんなの本末転倒。だからお前にはその筋のセミプロにお願いする』
「セミプロ?」

何だそれは。
インチキなスピリチュアルの世界にでも俺を誘うのか。

『スケジュールを決めて後日連絡するよ。あ、彼女って、龍成社のどこの局?』
「営業局だけど?」
『え?そりゃマズイなぁ』
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