私に恋をしてください!
私のいないところで私の話をしてくれたことも嬉しかったけど、想い人だと言ってくれるのは、この場で飛び上がりたい衝動にかられるくらいの喜び。

「ソラに、悩み事があるということなのでしょうか」

私には全くそれが何なのかが想像できなかった。

『まず、清水に聞く。君は、柳井君のことは好きか?』

単刀直入に聞かれ、一瞬躊躇した。
ここで素直な気持ちを口にして、局長にご迷惑をお掛けするようなことはあってはならないと思ったから。

すると私の右側に座っていた日下部長が、

『大丈夫。素直な君の気持ちを言えばいい。君は間違いなく彼に愛されているんだから、自信持ちなよ』

と、やや小さな声で言われた。

そうか。
自分の気持ちに嘘をつく方が迷惑を掛けるのかな、この場合は。

だから私は率直な気持ちを口にした。

「はい。本人には伝えていませんけど、私は柳井空くんが好きです」
『そうか。ならきっとこれから言うことは好き合う同士の片側である君にしかできないことだ』

ソラは、どんな悩みを抱えているのだろうか。

『柳井君は、好きな女性を抱くことができないんだ』
「抱く?」
『セックス出来ないということだ』
「え?ちょっと、会議室で話す言葉ではないですよ」
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