私に恋をしてください!
夜になってソラと電話で話をするのが最近の日課になっていた。

今朝の局長からの話からはなるべく遠い話題をしようと心掛けた。
話題は色々飛んだけど、ふと仕事の話になる。

"今日、春木屋の関根店長のところに様子を見に行ったら、君の話題になってさ"
「私の?」
"店長、君をえらくお気に入りだぞ。龍成社の担当は促進局の福井さんじゃなくて葉月にお願いしたいくらいだって"

それじゃ、失礼じゃん。
福井さんは女性だし。

「私のどこがいいんだろう?」
"可愛いってさ。葉月は自分が思っている以上に愛嬌があるんだよ"

今、ソラに誉められたけど、それは関根店長を通じての言葉。

私はもっとソラ自身の言葉で誉められたい。
そう思っていたら…

"でも俺は、店長より先に葉月が可愛いことに気付いていたけどね"
「ソラ?」
"今日、そんな話をしていたら、葉月に会いたくなっちゃった。10分、いや5分でいい。少し外に出られないか?"
「外って、どこ?」
"窓を開けてごらん"

ソラに言われてカーテンと窓を開けたら、外には見覚えのある車が止まっており、その傍らに寄りかかるソラがこちらに向かって手を振ってくれた。

急いで下に降りてキッチンにいたお母さんに"コンビニに行ってくる"と言って外に出た。
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