私に恋をしてください!
12月の夜は寒い。
目の前の道に駐車していた車に乗るように言われて、助手席に座った。

ソラが運転席に座ると、ゆっくり車を動かした。

でも、すぐに止まった。
うちの裏に当たる道に移動しただけだった。

『俺、変かな』

エンジンをかけたまま、暖房の効いた車内は暖かい。

「何が変なの?」
『こうやって会いに来ちゃったこと』
「全然。私もソラに会えて嬉しいもん」

会いたければ会えばいい。
その気持ちのどこがいけないの?

『怖くない?俺のこと』
「ううん。心のない男の人に来られちゃうとただのストーカーかも知れないけど、ソラだから」
『俺、だから?』

ソラは首を傾げながら私を見た。

「私にしたいと思ったことは、我慢しないで実行しようよ。私はどんなソラでも…好き、だから」
『葉月?』

今私、大変なことを言った?
人生初の告白だよ。
でも今日、局長からあんな話をされちゃうと、男性経験がないとか何とか言っていられない。

私がソラを救わなくちゃ。

「何て言えばいいのかな、あの、外見じゃないの。価値観とか、美的感覚とかがほとんどソラと私は同じでさ、私の心にあるハートの片側に、ソラのハートがくっついたら、きれいなハートの完成形になったって言うか、その…」
『そっか。もしかしたら俺の取り越し苦労だったのかも知れないな』
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