私に恋をしてください!
早口になってしまった私の言葉を遮るようにソラが自分の声を重ねた。

『手、繋いでいい?』
「うん」

私が頷くと、私の右手をソラは自分の両手で包んだ。

『小さくて、冷たい』
「ソラだって冷たいよ。体冷やしてない?」
『なら、葉月が暖めてよ』
「えっと…どうしたら、ソラを暖めてあげられる?」

私には、その答えをすぐに導き出せるだけの恋愛スキルがない。

『葉月の思うことをすればいいよ。その行動が、俺にとっても正解なはずだから』

握り締めている自分と私の手に優しい眼差しを送りながらソラは言う。

私は子供じゃない。
経験がないなりに猛スピードで頭を回転させた。

結果…答えは1つ。
私の体温をソラに感じてもらうこと。
そうすることで少しでもソラの"悩み事"の解決に近づけるのであれば、一石二鳥だ。

でも問題はこのシチュエーション。
私達の間には車のギアやサイドブレーキがあり、さらにソラの目の前にはハンドルがある。

「ソラ、シートを後ろに下げて」

私がそう言うと、ソラは余裕のある微笑みを浮かべ、返事がないまま黙ってシートを一番後ろまで下げた。

ハンドルとソラとの間に空間が開いた。
けど、その後の行動になかなか踏み出せない私。
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