私に恋をしてください!
ダメだ。
お母さんにはバレバレだ。
そもそもお母さんはまだ47歳。
見た目も感覚も若いし、私の行動なんて分かりやすすぎたのだろう。

『"ソラくん"とドライブデート?』
「まぁ、そんなところ?でも、なぜお母さんがソラの名前を知ってるのよ」
『フフ、アンタの楽しそうな電話の声よ。お父さんにも聞かれちゃったわよ』
「お父さんにも?」

これはマズい。
お父さんは私を溺愛している。
ソラの存在が知られてしまったら、付き合いを止めさせるために社会人になって撤廃されていた門限制度が復活してしまう。

「お父さん、怒ってない?」
『一瞬ね。でも大丈夫、"ソラくん"は"ソラちゃん"にしておいたから』
「は?」
『つまり女の子と話していることにしたのよ。幸い、話す話題もテレビの話だったし、それでお父さんはすぐに納得したわ』

ソラが女の子?
まぁ、名前はどちらでも通用するけど、それって一時的なごまかしに過ぎないのでは…

「でも、いつかはバレるよ」
『時間を稼ぐことも大事。まだ付き合い始めて日が浅いんでしょ?』

日が浅いどころか、気持ちを言葉にして彼氏彼女になったのは、ついさっきの話だ。

「そうだけど…」
『大丈夫よ。お父さん対策は私に任せて』
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