私に恋をしてください!
「剛さんって、偉ぶらないんですね」
『偉ぶる?どうして僕がそんなことをしなければならないんですか?家柄ですかね?』
「そう言えば、その家柄が、神戸との距離をなかなか縮める足枷になっていたとおっしゃってましたよね」

旧財閥の御曹司が、自分を本気で好きになるわけがないと自分に言い聞かせ、また裏切られることへのショックを最小限に食い止めようとしたために、なかなか剛さんに対して気持ちを踏み込む事が出来なかった神戸。

少なからず、俺との出来事が影響していることは明らかわけで・・・

「申し訳ありませんでした」

俺は頭を下げた。
神戸の気持ちを振り向かせるのに相当苦労しただろうから。

『頭を上げてください、柳井くん』

穏やかな声の剛さんだった。

『僕は逆に、貴方に感謝いたします。なぜなら・・・表現は悪いですが、貴方は由依に結果的に嫌われることをしたことで、僕に気持ちが向いたわけですから。もし柳井くんとうまく行っていたら、僕なんてとてもじゃないですけど、見向きもされませんから』
「そんな・・・貴方は家柄だっていいですし、女性には苦労はしないでしょう」
『それって僕のことを見てくれている女性ですかね。女性は僕じゃなくて、地位とか家柄とか名声しか見ていない。そんな女性、本気で愛せますか?』
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