私に恋をしてください!
その理由は、陸の姉ちゃんが龍成社の営業局で働く社員だから。
腰掛けと思われるのが嫌なのと、成瀬川家の妻として振る舞うのを嫌っているかららしい。

『ま、そういられるのも健吾さんが副社長になるまでの間だけどね』
「今は、龍成社のどこのポジションにいらっしゃるんですか?」
『営業局の局長だよ』
「え?」

営業局の局長と言うことは、葉月の上司じゃねぇか。
陸の姉ちゃんと葉月は同僚と言うことになるし、何だか話しにくいなぁ。

頼んでいた健吾さん用のビールが到着し"乾杯"と言って一気にジョッキ半分ほどを飲んだ健吾さん。

『柳井くん、君のことは以前から知っていたよ』
「以前から、ですか?」
『俺も実は根掘り葉掘りお前のことを健吾さんから聞かれ、剛さんからも聞かれていた』

何で?
俺が調べられるんだよ。
そりゃ、成瀬川家の力なら、ヘタな探偵事務所より正確に調べられるんだろうけどさ。

『最初は、剛と結婚前の由依ちゃんのことを調べていたんだけどね。その過程で君が登場したから』

由依ちゃんとは、神戸のこと。

『後になってからだけど、由依ちゃんから聞いたよ。高校の時の君との関係』
「そ、そうですか」

ゲームで神戸を抱き、停学処分を食らったことは、もう健吾さんはご存知なわけだ。
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