あの日に出会ったキミと。


思わず、部屋から走って出た。


さっき、一ノ瀬は結城さんに”鉄格子を付けること”って指示してた…


一ノ瀬はここに縛りつけようとしてるの…?!


ドクンドクンと鼓動が高まり、目眩もしてきた。


ここに、私は、生涯、この屋敷に。


約束なんて知らない。私はなんでここに縛りつけられてるの。なんで、なんで。


胸が苦しくなり、もう限界だと知った時、思わず玄関から外へ飛び出した。


扉を開けた瞬間、夏の匂いがして、暑くて、でも、今はこの屋敷を出たくて、出たくてたまらなかった。


もう嫌。耐えられない。


しゅう、しゅうに会いたい。
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